極上の他人


「あ、お疲れ様。わざわざ忙しいのに悪いな。えっと……5人、かな?」

「はい。新入社員ばかりで力不足だとは思いますけど、よろしくお願いします」

私達を見ながら呟く男性に、背後にいた艶ちゃんが答えた。

そして、私達は軽く頭を下げた。

「いや、力仕事に新入社員は最適だからな。あ、俺は営業部の水川……よろしく」

にやりとしたその笑顔に不安を覚えながら、どうにか展示棟の中へと入った。

その後展示棟の二階奥にある事務所に荷物を置いて、スーツの上着を脱ぎ社名入りのエプロンを身に着けると。

水川さんと女性数人が並べているダンボールが目に入った。

「カタログと、粗品のタオルをこの袋に詰めていってね。全部で500組できるはずだから、よろしく。あ、ここは3人でやってもらって、残りの二人はこっちに。
あ、君と、君」

足元に並べられた幾つものダンボール箱を呆然と見ていた私は、残りの二人に入るらしく、水川さんに手招きされてモデルホームを出た。

そして、水川さんに連れられ、艶ちゃんと二人敷地内をしばらく歩くと。

「うわ、綺麗」

水川さんに連れてこられたのは景色が綺麗な水辺で、橋の上から見渡せる周囲の風景に言葉を失った。

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