極上の他人
慌ててスツールから降りて、拾ってみると、それは夕方出会った高校生の女の子の連絡先が書かれた紙だった。
「かわいい女の子だったな」
綺麗な顔立ちと、真面目そうな雰囲気。
丁寧な言葉づかいも彼女の魅力の一つだった。
私のハンカチを洗って返すと必死だった様子を思い出しながらスツールに座り直すと。
「誰がかわいいって?」
相変わらず不機嫌な輝さんが、首を傾げて聞いてきた。
「えっと、今日、仕事で展示場に行った時に可愛らしい女子高生に出会って……」
「女子高生?」
「あ、そうです。彼女にハンカチを貸して……」
私が話を続けようとしていると、横から艶ちゃんが口を挟んできた。
「すっごく可愛らしい女子高生にもふみちゃんはナンパされたんだよね?」
「ちょっ、艶ちゃん……ナンパなんて、おかしいよ。相手は女子高生だよ?」
「ふふっ。必死でふみちゃんの連絡先を聞き出そうとしてたでしょ?あれはナンパだよ、ナンパ。男だけじゃなく、女の子にまで好かれちゃうなんて、ふみちゃん大人気」
からかっているとすぐにわかる口調の艶ちゃんに苦笑しながら、私は手にしているメモを改めて見た。