極上の他人


私は、誠吾兄ちゃんと同じ高校を卒業した。

じいちゃんとばあちゃんに経済的な負担をかけたくなくて、高校は絶対に公立に入学しようと決めていた私は、一生懸命勉強して、合格した。

自宅から自転車で通えるその高校は、自由な校風で私服通学。

自由な校風を望み入学してきた同級生の中には個性的な子が多かった。

見た目だけの個性だけではなく、考え方においても周囲に流されることのない自分自身の考えを持ち生きているという強さ。

それは、偏見や固定概念を持たず、何事もまっすぐ受け入れ、安易な感情に左右されない強さでもあった。

特殊な幼少期を送った私を『へえ、そうなんだ』の一言で聞き流し、それが何でもない事のように受け入れてくれる友達ばかりだった。

ふりかえれば、その頃から私は少しずつ変わってきたような気がする。

自分の身の上は、自分が悲観するほど特別なものでもないのかなと、ちらり、考えることも何度かあった。

とはいっても、小さな頃から根付いている感情は簡単に拭いきれなくて、高校時代は両親への重苦しい感情と、そんな後ろ向きな思いを一掃しようとせめぎ合う、アンバランスな時間だった。



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