極上の他人


そう言えば、就職してからずっと忙しくて、高校時代の友達とは会えていない。

久しぶりに連絡しようかな、と考えながら歩いていると。

大通りを挟んだ向こう側に、高校らしき建物が見えた。

正門から女の子ばかりが出てくるところを見ると、女子高のようだ。

制服姿が若々しくて、数年前までは自分も高校生だったのになあと苦笑した。

「あれ?」

ふと、思い出したのは、「真奈香ちゃん」のこと。

彼女が着ていた制服と同じような気がして、思わず立ち止まった。

じっと目の前の学校を見ると、門の横には「私立虹ヶ丘女子高等学校」と書かれていた。

「やっぱり、そうだ……」

『にじじょ』と呼ばれるらしい女子高が目の前にあった。

正門の向こう側には緑が豊かに広がっていて、広々とした空間の中に綺麗な校舎が見える。

「進学校だって艶ちゃんが言ってたけど、みんな頭良さそうだな……。真奈香ちゃん、出てこないかな」

呟きながら立ち止まって、しばらく正門から出てくる女の子たちを見ていたけれど。

そう簡単に再会できるわけないか、と苦笑しながら、駅へ向かって歩こうとしたとき。

「嘘っ。真奈香ちゃんだ」

友達と二人、並んで正門から出てくる真奈香ちゃんを見かけた。

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