極上の他人


「私が落ち込んでいたら、葉乃のためにならないのにね。それに、葉乃が将来一人ぼっちにならないようにもう一人って言いながらも、結局は周囲からの心無い言葉にばかり囚われて、今、葉乃を可愛がらなきゃっていうことを忘れてたの。葉乃が熱を出しても気付かなくて、肺炎を引き起こして、ようやく目が覚めたばかな母親なのよ」

手元のビールを一気に飲み干して、苦笑している亜実さん。

普段見せるあっけらかんとした笑顔からは程遠い、母親の落ち着いた顔を見せている。

葉乃ちゃんを愛しているんだと、そして一番大切なんだと、その顔を見れば伝わってくる。

母親だから、そんな表情を見せるのは当然のことなのかもしれないけれど、しっくりこない感情ばかりが胸に溢れてくる。

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