極上の他人
私は自分の母親から、今の亜実さんのような愛情あふれる表情を向けられた記憶は、ない。
愛し合って結婚したわけではない父さんとけんかしている記憶しかない。
父さんに似ているらしい私を、まるでいらないもののような、視界に入れたくもないような、そんな目で私を見ていた。
その視線と向き合うのが怖くて、私はいつも部屋の片隅で絵を描いていた。
ひたすら自分の世界に入り込み、両親に愛されていない自分を忘れようとしていた。
今では大人になり、子供を愛せない親もいるとどうにか受けとめているけれど、小さな頃は、周囲の友達とは全く違う自分の境遇と折り合いがつけられなかった。
今、目の前で俯き、葉乃ちゃんに対する罪悪感を口にしている亜実さんは、私の両親とはまったく違う、本当に愛情に満ちた人だ。
私が小さな頃に望んでいた母親の姿そのもの。