極上の他人
「ふみちゃんのこと、少しは聞いてるのよ。あ、気を悪くしないでね」
気落ちする私に、静かな声が響いた。
「輝くんのお店でね、偶然ふみちゃんのおじさんと会ったことがあるのよ。
私がふみちゃんの会社の先輩だって知って、おじさんが『よろしくお願いします』って頭を下げて、そしてふみちゃんの境遇をね。少しだけ教えてもらったの」
「誠吾兄ちゃんと、会ったんですか?」
思わず大きな声を上げてしまう。
誠吾兄ちゃんはそんなこと一言も言ってくれなかった。
「ふみちゃんは、子供が味わなくてもいい寂しさと苦しみを全部経験したようなものだけど、おじいさんとおばあさん、そして誠吾さんがそれを補っても余りある愛情を注いだ自信作だって自慢げに話していたわよ」
「じ、自信作なんて……」