極上の他人
結婚したことも、子供を持ったこともない私に、わかったようなことは言えないし、亜実さんが抱えるもの全てを今見せてもらったとも思えない。
自分がおごった人間にも思えてしまう。
「ごめんなさい……私には、亜実さんに偉そうなことは言えないのに」
小さな声でそう続けた私に、亜実さんは首を横に振った。
「偉そうでもいいのよ。どういう理由があっても私が葉乃の体調の変化に気付かなくて入院するほど悪化させたのは事実だもん」
「でも、亜実さんは私の母とは違って葉乃ちゃんを大切にしてるし……捨てたりなんてことしない……」
「捨てる?」
「あ、いえ、いいんです……」
勢いづいた私が思わず口にした言葉に慌てた。
きっと私の境遇を聞けば、亜実さんは同情するだろうし困るはず。
それはこれまでの私の人生を振り返れば簡単に想像できる。
かわいそうに、という気持ちを含ませた視線を何度も向けられた過去を振り返って、思わず俯いた。