極上の他人


夕飯には少し遅めの時間、今日は何を作ってくれているのかとわくわくしながらお店に着くと、扉を開けた瞬間輝さんの横顔が目に入った。

形のいい頭の形と、すっと整った顎のライン。

細すぎるわけではないけれど、長身のせいかすっと見える体に、女の子ならきっと目を奪われるだろうな。

今だって、何人かの女の子に捕まって、愛想よく相手をしている。

楽しそうな表情を彼女たちに向ける輝さんの様子は、胸が痛い。

そして、同時に聞こえた言葉にそれ以上動けなくなった。

「先週着ていた服よりも、今着ているワンピースの方がよく似合ってるよ」

「だって、輝さんが私に言ったんじゃないですかー。赤よりもオレンジの方が似合うって。だから週末はいろんなお店を回ってオレンジの服ばかり買い揃えたんですよ」

「俺の目は正しかったな。優貴ちゃんの肌の色には絶対にオレンジだって思ってたから、彼氏も惚れ直したんじゃない?」

「えー、だから、彼氏はいないって何度も言ってるでしょう?私が好きなのは輝さん一人なんですからー」

照れたように両手で顔を隠しながらも指の間から輝さんに視線を向ける女性。

お店で何度か見かけたことがある人だ。


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