極上の他人
そして、帰りが遅く心配だから俺が会社まで迎えに行くと言っても。
『迎えに来ると思うと気になって仕事に集中できないから来ないで』
そう言ってあっさりと断るあいつは、誰だ?
俺が守らなければ傷ついてしまうとひやひやしていた女はどこに行った?
俺は小さくため息を吐き、残っていたコーヒーを飲み干した。
少し乱暴にコーヒーカップを置くと、大きな音が店内に響く。
店の後片付けをしているバイト達がはっと俺を見るのに気付き、なんでもないと軽く手を振る。