極上の他人
出会ってからずっと、そして結婚しても尚、私の幸せを第一に考えてくれる輝さん。
……そうなんだけど、あまりにも私は幸せすぎて、愛されすぎて。
「輝さん、これ以上甘やかされると私はどんどん勘違いするから、やめて」
ぶるぶると首を横に振って、自分の心をガードする。
輝さんに甘えすぎないで、強い自分にならなければだめだとわかっているのに。
輝さんのお嫁さんという、人生最大で唯一の願いが叶えられた途端、どこか弱い部分が見え隠れするようになった。
それじゃ、だめなのに。
「だから、調子に乗っていいし、勘違い上等だろ?」
輝さんは、考え込む私の心をほぐすように、ゆっくりと呟いた。