極上の他人



その気持ちを私が口にして以来、輝さんがお店に立つことは滅多にない。

今では『マカロン』も3号店まで増え、順調に業績を上げている。

輝さんはその経営に集中するため、お店に立つのではなく裏方に徹している。

そしてその状況は今でも変わらず、特に深いつながりのある大切な取引先の人や、お世話になった人がお店に立ち寄って下さった場合だけお店に顔を出しているらしい。

それも全て、私の為。

そして、今住んでいるマンションも、私の通勤を考えて会社から近い場所を選んでくれた。

『設計デザイン大賞』を受賞して以来、私の顔も少なからず世間に認知されつつあり、そのことも考慮した輝さんがセキュリティ面も考えて買ったマンション。

輝さんと暮らせるのなら、どんなところでもいいんだけど、と思いながらも、快適な毎日を過ごしている。

< 433 / 460 >

この作品をシェア

pagetop