極上の他人


『設計デザイン大賞』というはっきりとしたもので私の頑張りを輝さんに見せた。

そうしなければ、私から輝さんにプロポーズなんてしてはいけないと思っていたし、お嫁さんにはなれないと思っていたから。

そして、私はその願いを叶えて輝さんのお嫁さんになったけれど。

「あの時は、賞を手にしてから輝さんのお嫁さんになろうと思っていたから、私は強かった。今日みたいに、難しい仕事も面倒くさがらずに必死で取り組んでいたけど、今の私はだめだなって思ったらグズグズ言っちゃうし、投げ出したくなる」

「確かに、今もグズグズ言って、俺が淹れたコーヒーも飲んでくれないもんな」

「そんな、笑いごとじゃないのに」

「悪い悪い。だけど、史郁が俺にプロポーズしようと頑張っていたあの頃、俺は寂しかったぞ?史郁は仕事仕事で何日も会えないから、いらいらしていたし」

「うん……その節は、ごめんなさい」

「いや、それはもういいんだけど。俺の為に頑張っていたってわかって嬉しかったし。だけどな……。やっぱり寂しかったな」

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