極上の他人
大丈夫だと思っていても、病気になったせいか緊張していたのかもしれない。
一人暮らしで頼れる人がいないことに、慣れているつもりで慣れていないと、気づかされる。
そんな私の気持ちを、亜実さんは察して電話をくれたんだろう。
本当に、ありがたい。
『あ、会社は明日も、あ、明日は休みだ。来週もその先もやってるけど、今日のコンパは今日だけだったのよー』
突然、大きな声が聞こえた。
悔しそうなその声に、今日コンパに誘われていたなと、思い出した。
亜実さんが厳選したらしい男性陣とのコンパ、熱のせいですっかり忘れていた。
「亜実さん、ごめんなさい、コンパ……楽しかったですか?」
小さな声で、聞いてみると。
『楽しかったけど、今日の主役はふみちゃんのつもりだったからちょっと気が抜けちゃった。
それに、千早くんが落ち着かなくて困った困った』
「え?千早くん?」
『そうよ。今日の一番人気の千早くんだけど、店に来た途端、ふみちゃんは来ないのか?って聞いてくるし、体調悪くて来ないって私が言った瞬間帰ろうとして止めるのが大変だったし、今だって……。あ、ちょ、ちょっと千早くんっ』
「は?亜実さん、どうしたんですか?亜実さんっ」