極上の他人

「まだ顔が赤いな。水を持ってくるから待ってろ。あ、おかゆも作るから、寝るのは薬を飲んで、その後だ」

言い聞かせるように呟いた。

その言葉から、しばらくの間ここにいてくれるのかと感じたけれど、これも自分に都合のいい思いに違いない。

忙しい輝さんには、私にこれ以上構っている暇なんてないはずだ。

今日は日曜日で、お店はお休みだろうけれど、週に一度の休日を私のために使ってくれるとは思えないし、そんな迷惑をかけるわけにもいかない。

そう、輝さんが今ここにいてくれることだけで、満足しなくちゃいけないのに、どんどん欲が出てくる。

私の側にいて欲しい。

一人にしないで欲しい。

そして……私を……好きになってほしい。

そう思った瞬間、ぎゅっと唇をかみしめて目の奥にあふれる熱いものが零れ落ちないように我慢する。

目を閉じ、切ない感情が消え去るのを待ちながら、両手をぎゅっと握りしめると、あまりの強さに痛みを覚えた。