まんなかロックオン
「コウーっ」
そのとき男子コートの近くで、男バスのマネージャーがコウを呼んだ。
ノートを見せて、ふたりで真剣に話をしている。確か先程シュート率を計算していたから、それについてだろう。
仲の良い、マネージャーと選手。その光景に、なんら問題はない。
…あるのは、それを見つめる私の心情である。
校内でもそうだったが、コウが女子と話しているのを見ると、こう、なんていうか、もやもやするのだ。
非常に認め難い事実だが、現実逃避をしても仕方がないので、自覚することにした。
「ほら麻佑、今の顔。怖いってば」
…美佳にこんなことを言われても、もはや「ごめん」としか言いようがない。無念。
大体、コウのあの告白から、私はどんどんおかしくなってきている。そろそろ、病院に行ったほうがいいかもしれない。