ふわふわな恋。

いきなり入ってきた、
麻依の隣の男子。

赤に近い茶髪の髪の毛を少しワックスでセットしていて、耳には数カ所にピアスをしている。

整ったまゆげ、綺麗な二重の目、高い鼻、ピンク色の唇、真っ白い歯、きめ細やかな肌…

制服は無造作に着崩している。

ネクタイは緩めに、ブレザーのボタンは全開、ズボンは腰ではいている。

「俺の名前、中尾涼(なかお りょう)!よろしく〜♪」

あたしと麻依を交互に見て笑顔で言う。

第一印象チャラくて話しかけづらそうな雰囲気だったけど、その話し方と笑顔を見て、心の優しそうな人だなあと思った。

「「よろしく!」」

麻依とあたしの声が揃う。

あたしたちに紹介が終わると、涼くんは後ろを振り返った。

「おす!俺、中尾涼!お前は〜?」

涼くんの後ろとはイコールあたしの隣の席の人だ。

そういえば隣の男子なんて気にしてなかった。

ふと隣を見てみると…。

薄い茶色がかった無造作にセットされたふわふわの髪の毛、横から見ても大きいとわかる二重の目に長いまつげ、高い鼻、キュッとしまった綺麗な唇。

小さい顔、一つ空いてるピアス。

第二まで開けたワイシャツの間から見える、綺麗な鎖骨。

制服の着崩し方は涼くんと同じだ。

世間で言ういわゆるイケメンだ。

涼くんもイケメンだけど、この人はさらにイケメン。

そういえば、教室中の女子がこちらを見ている。

…いや?
あたしじゃなくて、この人を見てる。

すごい光景だ…。

その人は涼くんに話しかけられたのに驚いているのか、頬杖をつきながら目を軽く見開いていた。

「…松本優(まつもと ゆう)」

ゆっくり口を開いて、低くも高くもない綺麗な声でそっと言った。

「優!よろしくな♪」

涼くんは優くんの肩をぽんぽんと叩き、あははと笑った。

「あ、私望月麻依!」

すかさず麻依も優くんに自己紹介をした。

優くんは麻依の顔をちらっと見て軽くうなずいた。

あ…あたしも…

「あたし、柚木愛莉!よろしくね?」

精一杯の笑顔で言った。

が、優くんは頬杖をついたままこちらをちらっと見てうなずくだけだった。

いわゆる、クールってやつなのかな?

涼くんとは正反対の性格っぽい。

これからこのクラスで仲良く楽しくやっていけるといいなぁ…

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