夕凪に映える月
え!!?
こっちゃんにホレてる!?
わ、私が!!?
「ない、ない、ない、ない!
それはない!!!」
こっちゃんは友達!
それ以上でもそれ以下でもないよ!!
しかも……こっちゃんには好きな人がいるんだし!!
あっちゃんのワケのわからない勘違いに力いっぱい反論すると
「え…?そうなのか??」
「そうだよ!!」
「え、だって、最近よく一緒にいる時を見るぞ!!?」
あっちゃんはキィっと突然怒り出す。
――な、なんで怒るのよ!!
「だって、こっちゃんは部活もクラスも一緒だし、ずっと仲いいから気も使わなくていいから楽なんだもん!」
「はぁ!?なんだそりゃ!!
一緒にいるなら女子といろよ!!
紛らわしいことするんじゃねーよ、バカ!!!」
「ば、ばか!!?」
あっちゃんは私の頭を思いっきりチョップをすると、私の左腕を掴んでグイグイと引っ張り始める。
「ちょ、あっちゃん!!?」
「ナギと一番仲いい男はずっと俺だと思ってたのにさ??最近よく虎徹と楽しそうに笑っちゃってるし、学食やら部活帰りやら、よく二人で一緒にいるのを見るし??これはナギは虎徹に惚れてんだな~って思ってたんだぞ!!?」
「は??何それ!!
こっちゃんは友達だもん!!」
カレに掴まれた腕が痛くて
引きずられているようなその感覚がつらくて
「いたい!!
痛いってば!!あっちゃん!!」
思わず非難の声を上げると
「うるさい!!
俺を翻弄する、ナギの方が悪い!!」
あっちゃんはキィキィ怒ったまんまドスドスと歩き続ける。