私と彼とダビデの関係
「 とりあえず無事で良かったよ~ けどすごかったなぁ… あれは姫様抱っことは言わないけど、カッコ良かったよ~ 見せたかったなぁ… 」
「 美岬、言ってる話が見えないんだけど? 」
「 お待たせ、伊原!」
話していると桂木くんが私のカバンも持ち保健室へと入ってきた。
「 美岬いたんだ、俺、伊原送るし帰っていいよ?」
あ… ほんとに送ってくれるんだ…
「 へぇ じゃあ、花帆の事よろしく!花帆、私ピアノあるから先帰るね!」
えっ、ええっ!やだ、ほんとに~!?
美岬の話の核心を聞く前に、あれよあれよと、桂木くんが送る準備を進める。
私は桂木くんに付き添われて保健室を出ると、隼世くんとバッタリ鉢合わせた。
隼世くん! わ… カッコい… じゃなくて!
なんで保健室に?
「 俺が伊原送るから 」
え、なんで隼世くんに言うの?
「 あの、隼世くん… これは 」
「 あ、そ。 」
あ、そ… って それだけ?
桂木くんが私の肩に手を添えて隼世くんを横切る。
とても冷たい、空気を感じた。
寂しい気持ちが胸をしめつける。
私は隼世くんに振り向けなかった。
校舎を出て桂木くんと歩いていると無言のままの私に話しかけてきた。
「 伊原さ、バレー部に好きな奴いるの?」
「 あ、ううん!違う… その… 」
バレー部の前にいたからそう思われてるよね… 隼世くんだとは言えないし…
「 もしかして、富来?」
「 うん… ん? え、あ、そうだけど違う…いや、違わないです 」
しどろもどろになって否定が否定になっていなかった。
「 なんだ、やっぱ富来かぁ アイツのどこがいいわけ?笑ってんのあんま見ねぇしさぁ 」
「 桂木くんも見た事ないんだ!私もなのっ クールな感じするけど、笑うとどんなかなぁって思うよね~ 」
「 伊原って笑うと可愛いんだな~ 」
「 桂木くん、今、さりげないトゲが刺さったよ?笑うとって 」
そうじゃないと、笑って訂正する桂木くん。隼世くんといつか、こうやって笑いながら歩きたいと小さく願った。