魁龍
「...止められるとは思ってなかった、って顔だな」
ふっ、と馬鹿にしたようにそいつは鼻で笑った
それに腹が立ち、素早くそいつの手の中から自分の拳を引き抜き、今度は腹に蹴りを入れようと足を前に突き出した
それも避けられ、だが素早く次の攻撃を仕掛けようと少し俯いていた顔を上げた
その瞬間、
ドカッ
『...っ、!?』
鳩尾に激痛が走り、俺はその場にうずくまった
な...何だ今の...
確か...、顔を上げた瞬間目の前にあいつの顔が見えたと思ったら、鳩尾に拳を入れられたんだ...
あの拳...凄ぇ重かった
未だ痛みで立ち上がれずにいれば、そいつが俺の前まで歩いてきた
殺られるか...?と思ったが、
「お前、何の為に暴れてる?」
そいつはただ、そう聞いてきただけだった