私はまだ、ガラスの靴を履く勇気がない。





「おい、どうしたんだよ」




後ろから聞こえる、低いトーン。




「な…なんでも……」


ない。と私は言おうとした。
 




でも言えなかった。






何かが、胸の奥底でつっかえている。





「は…じめてなんです。人と普通に話すの」


「……」


「私が悪いんですけど」







「…それは、昔のことか?」
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