続・危険なキス
「え……?」
そこに見えたのは、シルエットが二つ。
男の人の……一つはあたしが大好きな……。
もう一つのシルエットは、それから一言二言かわすと、あたしの存在に気づくことなく姿を消した。
あたしはそれを見送ると、そっと残されたシルエットへと歩み寄った。
「………先生…?」
呼ばれたシルエットは、少しだけ体をビクつかせ、ゆっくり振り返った。
振り向いたところで、ようやく街頭に照らされ、顔がはっきりと分かるように……。
「今の……川崎さんです、よね……?
何か話してたんですか?」
「……いや」
先生の様子が、いつもと少し違ってみえて、心配になりながら尋ねてみる。
だけど先生は安心させるように少し微笑むと、軽く否定をするだけ。
「じゃあ、行くぞ」
「……はい」
先生はそれ以上何も言わず、いつもの位置に停められている車まで歩いて行った。