続・危険なキス
 
車に乗ってからも、先生は無言のままで、
いつも口数が多いわけではないけど、なんだか雰囲気がいつもと違う気がした。


なんだか話しかけるのもためらわれるほど、空気が重くて……。


「……今日で…しばらく学校で会えなくなりますね……」

「ああ……そうだな」


いつもなら、「寂しいんだ?」と、にやり顔で聞いてくるのに、それもなくて、続けようと思った言葉も口をつぐんだ。


いったい、どうしたんだろう……。


心配になりながらも、車は家についてしまって、車が道路わきに停められた。

なんだかすぐに降りる気になれなくて、シートベルトは外したものの、ちらりと先生の横顔を見つめた。



「……先生……やっぱり何かあったんですか……?」

「……」



あたしの言葉に、先生は前を向いたままで、本当に何があったのか気になる。


いつもなら、明日も学校で会うことができるけど、明日からテスト返却がある1週間は、約束をしないかぎり会うことは出来ない。


だからこそ、このまま車を降りるのにためらわれた。
 
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