続・危険なキス
「………おはようございます」
「おはよう。今日もよろしくねー」
「はい」
次の日は、朝からバイト。
今はとてもじゃないけど、バイトどころじゃない。
だけど働かせてもらっている身として、こんな私情を挟んでの欠勤なんて出来るはずもない。
あたしは、真っ赤に腫れ上がった瞼を化粧でなんとか隠し、なるべく平静をたもって出勤した。
店長はあたしの異変に気づいてはないらしい。
あたしのポーカーフェイスもまだまだいけるな。
なんてことを思った。
「おはようございますー!」
掃除用具を取り出した頃、店内に響く明るい声。
なんとなく、その声が麻衣子と重なるような気がした。
だけど振り返った先にいたのは、麻衣子なんかではなくて、
「紫乃ちゃん、おはよう!」
「おは…ようございます」
にこにこと微笑む、美香さんだった。