続・危険なキス
 
「ついに卒業しちゃったよ……」
「そうだな……。
 俺はずっとこの日を待ってたけど」
「え、そうなの?」
「……」


自分で言っておいて、尋ねたら無言。

え、あたし、何か変なこと聞いた?


大学から家までは、決して遠くないので、マンションにはすぐに着いた。

慣れない袴と下駄に、少しよろめきながらも車を降りる。
なぜだか奏人は無言で、いつもと少し様子が違って見える。


いったいどうしたんだろう……。


だけど下手に突っ込んだら、またこの場で襲われかねないので、何も言わずにとりあえず部屋に入ろうと思った。

エレベーターに乗り込んで、いつもの部屋の前にたどり着く。

鍵を開けて、
いつもなら奏人が先に入っていくのに……


「先に入れ」

「え……?」


なぜかあたしを、先に部屋に招き入れる。

頭に疑問符を浮かべながら、靴擦れになりそうな下駄を脱いで、部屋の中へと足を踏み入れた。
 
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