金色・銀色王子さま











ピピピッ、ピピピッ







唐突に目覚ましが鳴って、ビクッしてからゆっくり目を開けた。
ひんやりした部屋の空気に、思わず掛けていた毛布を口まで覆う。


あ、そうか寝ちゃったんだ
片桐の部屋で


カーテンの隙間から日差しが差し込んでいる。
真冬で日が射し込むあたり、8時はすぎていた。
今日が休みじゃなかったらちょっと焦ってたけど、麻衣はまた眠りにつこうとした。


いや待てよ?
ここは片桐の部屋。いくらなんでも図々しすぎる。


恐怖で震えた私を抱きしめてくれた
優しく、強く



あんなに、安心できたなんて…




ソファからゆっくり体を起こして、辺りを見回す。








「起きた?」




ハッとその声に振り向くと、片桐は起きていてマグカップ片手にキッチンスペースから出てきた。
湯気の立ったカップから香ばしいコーヒーの香りがする。



「…………」


「大丈夫か?」


「えっ…あ…う、うん…」


片桐は麻衣の返事を聞くなり、隠しきれない程の大きなあくびをした。



「片桐…寝てないの?」


「誰かさんが俺のお気に入りスペースを陣取ってたせいでな」


「うそ!?ご、ごめんっ…」

「冗談だよ」
片桐はうっすら笑ったけど、疲れが見えてることは明らかだった。
きっと連日、お店も忙しいはず。
何日か会ってないだけだったのに、なんとなく頬が痩けているようにも見えた。



どうしよう…


泣きそうなくらい嬉しい


そして、すごく…


この感情はーーーー………


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