キミの誘惑
そういえば、遼君と帰るのはバイトに来た時以来かも
いつも学校の中でしか会わなかったし、学校から帰るのは初めてだ
こうして遼君と歩いてて前から気付いたことがいくつかある
私の歩幅に合わせてくれているように、隣にいる彼。
歩道の車道側を歩く彼。
学校では分からなかった遼君が見れて、少し新鮮だった
それに、年下で、彼氏でもない普通の男の子と一緒に帰るのは、本当に久しぶりで
最近の私はいつも、緊張してる─────
「先輩、今日の俺、どうでした?」
「え?」
思わず遼君の顔を見るけど、逸らされてこっちを見てくれない
「だーかーら。俺、どうでしたか?
先輩にかっこいいところ、見せられたかなぁって」
“うん、かっこよかったよ”
思ったのに、何度も感じたのに
恥ずかしくて口にできなくて
「勝てて、良かった」
「先輩の声、ちゃんと聞こえたから」
初めて、目が合って遼くんの顔が私に近づく───
そして耳元で、
“だから俺、頑張れたんです”
急に自分の体温が上がっていくのが分かった