キミの誘惑
「もう、ここで大丈夫」
この角を曲がればもうすぐ家
遼君は試合で疲れてるだろうし、家の前まで来てもらうのは申し訳なかった
「先輩、ご褒美なんですけど・・・」
「ああ、そうだったね。なにが欲しいの?」
今は何も用意なんてしてない
でも頑張ってたし、何かあげてもいいよね?
「一番欲しいのは───
先輩の“心”かな」
一瞬、思考が停止して、何て応えたらいいか分からなかった
また、真剣な目で見つめてくる。ずるい彼
「え、あのっ・・・・・・」
「でも今はまだ無理そうだから───」
と、彼は携帯を取り出した
「・・・本当にこれでいいの?」
「はい!満足です」
ご褒美は、アドレス交換だった
ご褒美じゃなくてもそれくらい教えたのに
「登録完了っ、と」
画面に映し出される“日野 遼”の文字
「メール、してもいいですか?」
「うん」
「ありがとうございます。
先輩、今日も好きです」
彼はいつも唐突だ───