ノンケのごとく♂
 





悠『僕たちは、この学園に入学できたことを誇りに思っています』




 壇上の彼は、美しい。端正な顔立ち。透き通るような肌。短めのストレートヘアでいて前髪は少し長く、眉にかかった髪の合間から、クリっとした大きな瞳を覗かせている。




悠『学園の校訓に則った、規則正しい学園生活をおくることを誓いたいと思います』




 少し声が高く、少し小柄な彼。しかし採寸を間違えたのか、身体のサイズより一回りも大きい学ランを着ていた。ぶかぶかの松崎しげる色を纏っていて尚栄える、真っ白い頬。まさに、おどろきの白さ。




悠『新入生計216名に代わって、この旨を伝えます』




 そして芯の通った真っ直ぐな姿勢で体育館中に熱弁を振るう。その姿、何処か他の男児とは違う凛々しさがあった。




陽彦「…………」


 おれは暫し時間を忘れて、彼に見入ってしまう。


 この間、心の中を沸き起こって来ていたのは、ある表現のし難い高揚感。ああ困った、小田和正じゃないのに言葉にできないや。


 強いて言うなら――もう二度と感じることのできないと思っていた高揚感。こんなところか?






悠『ありがとうございました』



″ パチ、パチ、パチ、パチ、パチ、パチ、パチ、パチ ″ !!






 場内に沸き起こる拍手の音で、ハッ、と現実に引き戻される。



陽彦「……ふっ」


陽彦「ふはははは!!」



 素晴らしいじゃないか薔薇色学園! まさかこの陽彦を、こんなにも掻き乱してくれるダンジに巡り合わせてくれるとは、思いもしなかったぞ!


 おれ、いやさ漢は決めたっ! この薔薇色学園で、まさしく薔薇色の学園生活をおくってやることをなあッ!





陽彦『漢、最高ぉぉぉぉーーーーう!!!!』



Aくん『痛痛たたたた痛アッーーーー♂』





 おっと! テンション高ぶりすぎてAくんのお尻目前でストップさせてた指先(カンチョー)を、見事、彼のトンネルのド真ん中に命中にさせてしまった。




教師「そこのお前達、ちょっと、こっちへ来い」


 漢とAくん(とばっちりごめんね♂)は体育館の後ろのほうで、長めのお説教を食らった。




 
 
 
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