愛し*愛しの旦那サマ。

ちょっと、冗談じゃないわよ。

こんな至近距離に住んでいて、同じ事務所勤務っていったら―…


「これから通勤や帰宅が重なっちゃいますねっ」


うふふ。

と、天真爛漫―…いや、天真爛漫に見せかけて、腹黒く微笑む秘書藤枝。

まさに今、私が危惧していたことを、さらり、と言ってのけてくれる。


「そういうコトで奥様。これからご近所さんとしてもヨロシクお願いしますね~」


笑顔を崩さない秘書藤枝。


―…こっちはヨロシクされたくない。


けど、


「ええ。こちらこそヨロシクオネガイイタシマス」


若干、棒読みになりつつも、余裕に見える笑みを作る私。


「じゃあ私、そろそろマンションに帰りますね~」


そんな秘書藤枝の言葉に、どうぞお帰りくださいナ!

と、思っていると、秘書藤枝。臣くんに、


タタッ……


と、近づき、


「飲み会、櫻井先生とご一緒出来てとっても楽しかったです。じゃあ、また月曜日に」


そう、臣くんに向かって言うと、


「お疲れさまでしたぁ~」


と、臣くんにダケ、笑顔を向けてマンションへと帰っていった。


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