愛し*愛しの旦那サマ。


「生地薄いけど、とりあえず、それ着とけ」

「臣くん……」

「さっさと家、帰るぞ」

「……うん」


臣くんの匂いがする……


羽織らせてくれたコートをぎゅっと左手で握り、右手を臣くんの腕に絡ませる。そして一緒にマンションへ入り、部屋へと戻る。




リビングへ入ると、臣くんはネクタイを緩めながらソファーに座る。そして、

はぁーっ、

と、溜め息。

ここのところ仕事も忙しかったみたいだし、飲み会の帰りということもあって、その綺麗な横顔には疲労が見える。


「風呂は?」

「あ、保温してるから、お湯加減は大丈夫と思う」

「ああ」

「……臣くん、大丈夫?」

「何が?」

「なんだか、疲れてるみたいだから……」

「溜まってた疲れが少し出ただけだよ」


まだジャケットも脱がないまま、ソファーにもたれかかる臣くん。


そっかぁ。

毎日、疲れるよね……(私モ、コンナダシ……)


ホントは一緒にお風呂に入りたいけど臣くんも疲れてるみたいだし、今夜はゆっくりと湯船に浸からせてあげようって思う。


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