愛し*愛しの旦那サマ。


「はっ。そうでした、そうでした~では、ちょっとその辺を……」


お散歩に~って、


「ちっがうよ~っ!散歩なんてこんな時間に行くわけないじゃんっ!待ってたのっ大好きな臣くんを待ってたの~っ!!」


うわぁ~んっ…

と、泣きながら臣くんにしがみつく。


「なかなか帰ってこないから、マンション下まで降りてみれば、藤枝ってコと一緒に帰ってくるしっ!っていうか、引っ越してきたのって絶対狙ってるっ臣くん狙われてるのよっ!あの女、やる気よぉ~!!」

あの女はやる気なのよ~っ!!


と、涙の訴え。


「……ったく、知るかよ。そんなこと」


そんな私を呆れて見る臣くん。


「臣くんは知らなくても、あの藤枝って女は……」


そう言いかけた瞬間、

クシュッン……!

と、くしゃみをしてしまう私。

そんな私に、


「お前、この時間はまだ寒いんだから、そんな格好で外ウロウロすんな」


と、臣くんはブラウスの上にカーディガンを羽織っただけの私に、着ていた薄手のコートを羽織らせてくれる。


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