愛し*愛しの旦那サマ。

っていうか、


「だぁーっ!!もうっ!ツケマツケマツケマうるさぁいっ!!!自前のマツゲがあるでしょーがっ自前のまつ毛がぁっ!!」


キッチンで夕食の準備をしながら思わず一喝してしまう私。


「はぁ?つーか、おねーちゃん、まさかツケマ愛用してないの?自前のまつ毛短いくせにー」

「いいのっ。私はマスカラ三回重ね塗りくらいで」

「ふ~ん。どうでもいー情報ありがとー」


「……(コイツハ……)」


時は遡ること、約三時間前―…


全ての始まりは一本の電話。


自宅の固定電話から鳴ったエリーゼのためにから始まった―…


「はい、櫻井―…」


櫻井です。

と、言い終わらないうちに、


『あー、幸代?元気してるー?』


受話器から聞こえたのは、実母の声。


「母さん?それなりに元気だけど……どうしたの?(珍シイ…)」

『いや、そろそろ着いた頃かなって思って~』

「??荷物でも送ってくれたの?」

『えーっ?荷物じゃなくて……あっ、ちょっとお父さんっ!』


お父さん??


『よぉー、幸代、元気しちょるか?臣くんと上手くやっちょるかー』


いきなり通話相手が父にチェンジ。


「えっ?そりゃあ、もう円満極まりないくらいだけど……で、用件は何?愛する娘の声を聞きたいだけ?」

『ああ、そう言えば、声聞くの久しぶりじゃの~そっちは、もう暖か……おい、母さ……』


何、二人でやってんの??
(ソンナニ愛娘ノ声ヲ聞キタイノネ?)


< 212 / 498 >

この作品をシェア

pagetop