愛し*愛しの旦那サマ。
『―…幸代?ごめんね~、お父さんったら急に受話器を横取りするものだから……あ、臣くんは勿論、仕事よね~?最近、会ってないから寂しいわ~』
どうやら母は、実の娘よりも臣くんに会いたいらしい……
「で、何か用件があるの?それとも単に電話してきただけ?」
『そうそう~!本題をまだ言ってなかったわね~。そろそろ着く頃かと思って連絡を入れたの』
「うん。だから、何が?(サッキカラ)」
『何がって……』
母がそう言いかけた時、
ピンポーン―…ッ。
と、櫻井家のインターフォンが鳴った。
「あ、お母さん?誰か来たみたいだから、ちょっと待って」
そう言って母を待たせ、子機を片手にインターフォンの画面を見てみる私。
「……」
ナンダカ、トンデモナイ生物ガイル。
櫻井家のインターフォン画面に映るモノ……
バシバシのまつ毛。
がっしり引かれたアイライン。
塗りたくられたマブタ……
人間らしき目のドアップ映像。
しかも、じーっと、カメラを覗き込んでいる。
サスペンスドラマ?ホラー映画??