愛し*愛しの旦那サマ。


幸江、櫻井家に傷心旅行二日目の夜。


昼前にフラりと出かけて、臣くんが帰宅する時間、数分前に帰ってきた幸江。


「おねーちゃん、ただいまー」

「おかえり。どこ行ってたの?」

「こっちの友達と会ってー、ブラブラしてたー。それよりさー、おねーちゃーん、臣くん、そろそろ帰るんじゃなーい?」

「まぁ、そろそろだね……」

「今日も新婚さんごっこしていいー?今日は1レベル上げて、臣くんのネクタイとジャケット預かるところまでやってみたーいー」

「はぁっ?今日は絶っ対ダメ!!アンタは大人しくここ待っててっ!」

「いーじゃん、いーじゃん。おねーちゃんばっかりズルイー」

「そういう問題じゃ……あ、」

「何ー?おねーちゃん、どーしたの?」

「今、鍵穴にキィー差し込む音した」

「マジ?おねーちゃんの聴力、神の領域じゃん?」


臣くん。

帰ってきました……


今日はテーブルの上にグラス無し。

幸江に先を越されるワケにはいかない!



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