愛し*愛しの旦那サマ。
「あの~…仮にも法律事務所で勤務している人が、既婚者への想いを妻を目の前に堂々と言っちゃっていいんですか?」
「あら。私はまだ櫻井先生へのお気持ちをお伝えしただけで、まだ不貞行為には走っていませんわ。」
「当たり前です。臣く……旦那はそういった心配は皆無の人間なので」
そうキッパリ私が断言すると、ニッコリと微笑む秘書藤枝。
「でも万が一、その様な場合になった際に起こりうるケースなどは大体わかりますので、ご心配はいりませんわ」
「万が一、というか、一切そういった心配はありませんので、ご心配はいりませんわ」
双方、無言ノ微笑ミ。
そして、秘書藤枝、
「あっ、大変。この後、ヨガ教室がありますので、この辺で失礼させて頂きますね」
と、腕時計を確認して立ち上がる。
「奥様、急に申し訳ありませんでした。お会計は私が済ませておきますね」
そう言った後に、
あっ、
と、わざとらしく、声を出し、
「……櫻井先生のことですけど、既婚者であるということを心得てはおきます。ただ……セーブがきかないのが恋愛感情ですからね」
でも、一応、セーブするようには頑張りますね、
と、またまたニッコリ。