愛し*愛しの旦那サマ。

そして、伝票を手に、立ち去ろうとする秘書藤枝に、


「あの、」


と、声を掛ける私。

既婚者に想いを寄せてしまっていることを、わざわざご丁寧にお知らせしてくださった藤枝さんに、


「妻である私が言うのもおかしいですが、藤枝さんのおっしゃる通り主人はとても素敵な男性です。というか、妻である私だからこそ主人の素敵さがわかります」


ですので、藤枝さん、そんな素敵な主人を仕事上、どうぞ宜しくお願いしますね、


一応、そう伝えておきます。


ええ。

精一杯の私なりの大人の対応デストモ。


そんな私なりの大人対応に秘書藤枝はというと、一瞬だけ真顔になるが、すぐにまた笑顔を作り。


「こちらこそ宜しくお願い致します」


と、言うと、会計へと向かっていった。




爽やかな朝が一転。

何だか、すっごい疲れたんですけど。




一人残された席で、そんな疲労を感じながらコーヒーを飲み干す私。


「……」


アレ。

そもそも私、何で外に出て来たんだっけ?


……!


っていうか、家を出てから、どれ位、時間経ったのっ??


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