愛し*愛しの旦那サマ。


「……携帯、取りましょうか?」

「そのままでいい」


臣くんがそう言うので、鳴り続ける着信音を聞きながら、私は臣くんの首筋にキスをおとす。

何度か口唇を這わせ、いったん離れようとすると、今度は臣くんがそんな私を引き止めて深くて濃厚なキスをくれる。


甘くて、とても良い。

良い雰囲気、なのに―…


プルル……プルル……


しつこく着信を主張し続ける、臣くんの携帯電話。


「……まだ鳴ってる」

「勝手に鳴らせとけば?」


私と臣くんが、そんな会話を交わしたところで、


プルル―…ッ―…。


やっと着信音が鳴り止む。


「やっと鳴り止んだ……」


そう言って、一瞬、私が臣くんの携帯電話に視線を逸らした瞬間、


「……っん」


身体を起こした臣くんに、一瞬にして、また強く口唇を奪われてしまう。


「……っ!」


臣くんの手が、私の素肌を這っていく……


何とも言えない感覚が身体中に走っていくのがわかる。


「幸代……」


臣くんはそう囁くと、私の左手を握り薬指に優しいキスをおとしてくれる。


休日の午後―…

太陽の光が降り注ぐ時間帯から、とても甘くて濃厚な雰囲気が漂っているのに、


タラララララララン~♪


そんな空気に無理矢理割り込むかのように、再び“エリーゼのために”を流し出した、我が家の固定電話様―…!


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