愛し*愛しの旦那サマ。
珍しい。
仕事中の臣くんから連絡が入るのは、かなり珍しい。
せいぜいメールで晩御飯のリクエストを超簡潔に送信してくるくらいなのに……
「……!」
晩御飯……!
も、もしかして、結婚承諾記念日という今日、私に内緒で既に臣くんは高級フレンチレストランでも予約していて―…
―お前の手料理も食べたいけど、今夜はまた違った雰囲気で二人の記念日を祝いたい―
的な、結婚承諾記念日 in 高級フレンチ店へのサプライズお誘い電話……っ!?
―…な、
ワケないよね~、あの臣くんが~ははは~
妄想遊びはこの位にして、さっさと電話に出なければっ。
そう現実に戻りながらも、ちょっぴりドキドキしながら、
「ハイ、幸代ですっ!」
気合いを入れて電話に出る私。
『……声、でかい』
「えっ、そ、そぉ?」
『また、何か変な遊びしてたの?』
「とんでもないっ!」
イケナイ、イケナイっ。
あまりテンションが高すぎると、高級フレンチのお誘いかも、なんて考えていたことを臣くんに勘づかれちゃうっ。
もし、実際そうだったら、既に勘付いてしまってた、なんて臣くんに申し訳ないじゃないっ!
そう思って、
「ど、どうしたの?」
と、(私なりに)普通を装って尋ねてみる。