愛し*愛しの旦那サマ。


そして、

PM23:00現在。


ただ今、バルコニーにて夜風にあたっています……


「臣くん……」


会いたいよぅ。

あと、一時間で六月二十九日が終わってしまう。

というか、そもそも臣くんが今日という記念日を覚えているのかさえ、あやしくなってきた……

今朝もそんな話題ちっとも出てこなかったし、昼間の電話も相変わらずそっけなかったし……


それに、もう一つ心配事が。

今夜もまた、秘書藤枝とタクシー相乗りで帰ってくるのかしら……


そんな気分沈みまくりの私に、秘書藤枝の挑発的言葉の数々や、塚本の“男は突然旅立ちたくなる”発言や、昼間の占い内容が、追い討ちをかけるという……


「はぁ~…」


溜め息ばかりをつきながら、バルコニーの手すり部分にもたれかかる私。

しかし、そんな心身ともに憔悴しきった状態でも、マンション前の道をタクシーが通ると、無意識に素早く反応してしまう。


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