愛し*愛しの旦那サマ。

今。

目の前。

っていうか、ちょっと離れた斜め下の道路上で行われている“F”の駆け引き的な行為と、一秒ずつ、今日という日を刻んでしまおうとしている時間が気になって気になって―…


そして―…

臣くんと秘書藤枝の進み出した方向が、同じ方向で、


「……!」


しかも、同じ建物へと入っていく瞬間を目にしてしまって……

それと同時に、私は直ぐに斜め前マンションに背を向けた。


バルコニーの窓も閉めずに携帯電話だけを握り締めて、部屋を飛び出していた私。

エレベーターが来るのさえも待てずに、三階フロアから階段でエントランスホールへと駆け足で下りていく。


何も考えずに履いた、愛用のミュール。


ミュールは走り難い履物だと、約二ヶ月程前に実感した筈なのに、つい、また無意識に履いてしまった私。


「……ったぁ」


マンションの自動ドアを通り抜けて、外に出たところで、足をくじいてしまうという、なんともまぁ、情けないハプニング……


< 316 / 498 >

この作品をシェア

pagetop