愛し*愛しの旦那サマ。


勢いにまかせて乗り込んだタクシーの運転手のおじさんの声でハッと顔を上げる。


「で、どこに行けばいいのかな?」

「あ、そうで……」


そうですね……


と、行き先を考えていると、


「……!!!」


とんでもない事実に気がついた私!


現在の所有物は携帯電話オンリーということで……

お財布を持っていない……!


お財布を持っていないということは、タクシーに乗ってもタクシー料金を払えないっ。


これはマズイ。

物凄くまずい……


でも、こうやってマズイマズイと思う間にタクシーはどんどん走行する……


と、とにかく落ち着いて考えよう。

とりあえず、ここは無駄にタクシーを走らせるのは危険だ。

というわけで……


「う、運転手さん……」

「はい?」

「と、とりあえず、あの信号の先にあるコンビニにいったん止まってもらっても……いいですか?」

「コンビニですか?」

「ハ……ハイ(何トナク小声ニナル私)」


そして、タクシー。信号先のコンビニ駐車場に一時停車。


「ちょ、ちょっとお手洗い借りてくるので待っててもらってもいいですかっ?」


そう言って、この場を乗り切る名案を考えるべく、コンビニのお手洗いへと(慌てて)駆け込んだ私。


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