愛し*愛しの旦那サマ。

あんなドラマチックな状況で、タクシーに勢いよく乗り込んだ私が、なぜ。

理沙子と迷惑独身男塚本と共に、おかまBarで飲んでいるのかというと……




時は遡ること、約四時間半前―…




「……っ」


頬に伝った一筋の涙をカットソーの袖で拭う。


本当にやだ……

涙なんて流すつもりなかったのに。

ましてや、大事な二人の記念日に嫉妬なんかして、ほんの一瞬とはいえ、臣くんのことまでも疑ってしまった。


それで結局、泣き顔を見られて、大好きな臣くんの手も振り払って……


だけど、あんな状態のまま、臣くんと居られるわけもなくて―…


会いたいのに、会えない。

会えないと強く思うのに、本当は会いたくて仕方ない―…


こんな状況を選んだのは私なのに、そんな自分の想いに揺れる度に、また、


「……さん」


涙が零れてし―…


「お客さん!」


「は、はいっ!!」



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