愛し*愛しの旦那サマ。

そんな怒りの叫びと共にプルプルと手を震わせながら、野菜ジュースがまだ残るグラスを握っていると、


「まぁまぁ奥様、そんなに動揺なさらないでください」


私をなだめるようにFが言う。


「動揺じゃありません……怒りで震えてるだけですので」

「まぁ、お怒りだなんて……でも、安心してください、奥様」

「あのっ!主人に言い寄る女がいる状態で何を安心っ―…」


安心しろと?


そう、言おうとした瞬間、


「はっきり断られましたから」


と、F。


「はっきり……?」

「はい。はっきり断られちゃいました。それに、櫻井先生は―…」

「え?」

「いいえ、何も」

「……」


“はっきり断る”


だなんて、十分に分かりきっていたことでも、


「そう、ですか……」


やっぱり、かなり安心してしまう―…



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