愛し*愛しの旦那サマ。

そんな彼女の姿を何となく眺めていると、


「……」


虚ろ虚ろに目を開けた彼女。

寝起きのせいか酒のせいかは知らないが、横になったままの状態でぼんやりと何処かを眺めている。

そして、ムクッと身体を起こした彼女と、


「……」


自分の視線が合いい、そのまま数秒、無言のまま視線を合わせ続けてしまう。

あれからそんなに時間も経ってないし、酒が抜けてないんだろうな……

まぁ、何でも良いけど、これでやっと帰れる。

そう思って、立ち上がろうとすると、


「あ゛ぁ、苦し~い……」


唸る様な声を出し、いきなり着ていたワンピースを脱ごうとする彼女。

この女、たった今、俺と目を合わせておいて何考えてんだ……

アルコールが抜けてないのかもしれないが、目の前に男がいる状況で、馬鹿だろ?


「おい、待て……」


と、声をかけるも、俺の声も存在も気に留める様子は全くない。

とりあえず視線を彼女から逸らす。

どこまで面倒な展開が続くんだ……という思いと共に深い溜め息。


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