愛し*愛しの旦那サマ。


「塚本の知り合いなんだって?俺もね、学部は違うけどアイツと同じ大学なんだ」


ジョッキを片手に彼女に話しかける短髪の男。

同じ大学でも学部が違うと顔なんてわからないヤツが殆どで、自分とは面識のない男だった。


「何?もうデザート食べるの?」

「そうそう。私、こういう甘いモノでビールとか焼酎、普通に飲めちゃうタイプだから」

「それにしても多すぎじゃない?」

「全種類とってきたからね~」


彼女とそんな会話をしながら、楽しそうに笑う男。

彼女は、というと、取ってきたケーキを食べながら、普通に生ビールに口をつけ、ジョッキを空にした。


「塚本から聞いたけどさ、高校S高だったって?本島ってヤツいなかった?バスケ部で」

「あ~、いたいた。っていうか、同じクラスで普通に仲良かったよ~」

「まじ?俺ね、アイツと家隣りで幼なじみなんだよね」

「へぇ~そうなんだぁ~懐かしいなぁ。本島君、今何してるの?」


共通の話題で盛り上がり始めた二人。

自然と二人の会話が耳に入ってくる。

と、


「聞いてる~?櫻井君」


隣りの女が俺の顔を覗き込むようにして聞いてきた。


「聞いてなかったでしょ~?もしかして、もう酔っ払ってきたとか?」


その女の言う通り、隣りにいる女の話は全く聞いていなかった。


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