愛し*愛しの旦那サマ。
「幸代ちゃん、大学どこだったの?」
「仕事は?」
「明日は休み?」
次々と彼女に言葉をかける男。
そんな男の言葉に彼女も普通に受け答えをしていく。
「幸代ちゃん、次も生ビール?」
「うん。生ビールで」
「っていうか、幸代ちゃん結構飲みっぷりいいよね。そういうコ、好きだな~」
ひたすら耳に入ってくるのは隣りの女の話よりも向かい側の二人の会話。
聞いていると何故か苛立ちが募ってくる。
彼女に明らかに好意を寄せて話しかける男。
そんな男を隣りにして、どんどん酒を飲む彼女。
彼女と彼女の隣りに座る男への苛立ち。
けれども―…
「ねぇ、櫻井君って、弁護士事務所に勤めてるって聞いたんだけど、司法修習って終わってるの?」
隣りの女がそんな話題をふってきたと同時に、
「……」
俺は無言で席を立つ。
そして、隣りから話しかけてくる女を完全無視状態で、いったんその場を離れた。