愛し*愛しの旦那サマ。
いや、
私は一生に一度の臣くんとのウェディングという今日の日を色んな意味で、なかなかの緊張感を持って迎えているんだけれどもね。
大学に上がっても変わらない幸江の独特な口調についつい緊張感が解かれるというか……
恐るべし幸江マジック。
とか、思っていると、
「あれ?ところで、お父さんは?」
まだ本日、一度も顔を見ていない父がふと気になる。
「何だか緊張がピークに達してるみたいで、じっとしていられないからって言って教会の周りをウロウロウロウロしてるのよ」
「えぇ……」
「そう言えばー、昨日、ホテルの部屋でさー、私、今日の予行練習に付き合わされたんだけどー」
「何それ……」
「私がおねーちゃんの役でさぁ、バージンロード歩く練習ー」
「……」
貫一、大丈夫かな……
バージンロードで娘のウェディングドレスの裾を踏んづけるとか、そんな展開はご遠慮願いたいけど……
予期されるハプニングの一つとして私も気を付けておこう、っと。