愛し*愛しの旦那サマ。

「……満足?」

口唇が離れたところで、そう言って私を見る臣くん。

別に付き合い始めというわけでもないのに、こんなにも至近距離で見つめられると、今でも身体が微熱を帯びているみたいになる。

臣くんの言葉に、こくり、と頷く私。

すると、また、臣くんの口唇が私の口唇に優しく触れて、


「俺は全然満足じゃないんだけど」


まっすぐに私を捉え続ける臣くんの視線。

ねぇ、臣くん。

その言葉と、瞳は―…反則だよ。

そして、臣くんは、すぐ近くにあったリモコンで照明をオフにしてしまう。

そのまま、ソファーに沈められる私。

臣くんの手や口唇が触れる程に、鼓動が速度を増していく。

結婚もして、毎日、一緒にいるようになったけど、こんな風に触れられることを、慣れてしまうことなんてないね。


「臣くん、もう一個ねだってもいい?」

「―…何?」

「愛してるって言って」


何時もはぐらかされてしまうから、今日こそは……そう思うのだけれど、


「幸代はどうなの?」


逆に聞かれて、


「……愛してる」


答える私。


「知ってる」


臣くんはそれだけ言うと、何度も私の口唇を塞ぐ。

また、今日もはぐらかされてしまったみたい。

だけど、十分に幸せだ。


そして、何度も臣くんを感じた後に、私はそのままソファーで眠りについてしまった。

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