不謹慎ラブソング
途中、重い鞄を整頓するためにバス停のベンチに腰をおろした。
鞄を開けると、中に見覚えのないファイルが入っていた。
ボロボロになって、落書きもされていて、薄汚れたファイル。
取り出してみると、中からは金井の小説と設定画が出てきた。
間違えて持ってきてしまったようだ。
しばらく辺りを見渡して、それから原稿用紙を取り出すと、縦に切り裂いた。
縦に、縦に、横に、斜めに、細かくなるまで切り裂いて、それから丸めて区役所の前にあるゴミ箱に捨てた。
手書きの原稿だから、コピーがないから、締切は明日だから、金井はきっと焦るだろう。